読書案内




 現在数百から千点を超えるであろう数の英語に関する書物が出回っている中から、ここで紹介できるのはそのうちのほんの一握りです。受験勉強としての英語学習から開放された新入生の皆さんには、これからも様々な形で長い付き合いになるであろう英語について、一度じっくり腰を据えて考えていただきたいと思います。そのような英語の「見直し」に役立つと思われる本のいくつかを以下に紹介します。目次のわかるものは参考までに[ ]内に挙げておきました。出版データの最後にある数字はページ数です。

ロバート・マクラム著 岩崎春雄訳『英語物語』文藝春秋 1989年. 582p.
 BBC制作のTV番組から生まれた英語の歴史。1500年の歴史をもち、10億人の言語となった英語の過去・現在・未来を広く扱った、出版(放映)当事としては画期的な英語研究。原著はThe Story of English
[1 英語圏の世界 2 母語  3 火の詩神   4 懐かしのスコットランド語  5 アイルランドの問題 6 ブラックオンホワイト 8 こだまする英語の声  9 新英語の出現 エピローグ 明日の英語]

デーヴィド・クリスタル著 国弘正雄訳『地球語としての英語』みすず書房 1999年. 215p.
 英語研究の第一人者である著者によるタイトルどおりの内容の本。原著 English as a Global Language は2003年に改訂版が出ています。

寺澤盾『英語の歴史―過去から未来への物語』中央公論新社 2008年. 241p.
 「5世紀半ば、ブリテン島の一部でのみ使われていた英語は、現在、15億人が使う国際言語へと成長した。英語は8世紀以降、北欧語、ラテン語、フランス語といった「侵入者」たちから、16世紀以降は英国人の海外進出に伴いアメリカ、アジアの言語から、語彙・綴り・文法など様々な影響を受けて創られてきた。本書は、現代英語を意識しながら1500年の歴史を概観し、近代英米社会で急変する姿とその未来を描くものである。」以上は本の宣伝文から。著者はかつて本学で教鞭をとられたことがあります。
[第1章 国際語としての英語 第2章 英語のルーツ 第3章 語彙の増大 第4章 綴り字・発音・文法の変化 第5章 英語の拡張 第6章 現代の英語 終章 英語の未来]

重田勲『ネイティブ英語発音する方法』星雲社 2009年.175p.
 英語音声学と発音指導を専門とする著者の40年以上の教育経験を反映した本。
[第1章 ネイティブ発音にする 第2章 高速空気の表記と発音 第3章 音のつながりをなめらかにする方法 第4章 息を上手く使おう 第5章 聞き取りがよくなる方法 第6章 子音をネイティブ発音にしよう 第7章 変化する母音の音色をとらえよう 第8章 切れのよい母音を習得する 第9章 発声と共鳴がよくなる方法]

ピーター・バラカン『猿はマンキお金はマニ―日本人のための英語発音ルール』日本放送出版協会 2009年.127p.
 日本在住暦35年超のDJなどとして知られる著者による気軽に読めるエッセー。

英語音声学研究会『大人の英語発音講座』日本放送出版協会 2003年. 222p.
 「英語の音はただ聞き流しているだけでは、いつまでたっても聞き取れないし、話せない。正しい発音は「習うより慣れよ」ではなく「習ってから慣れよ」。理屈で分かってから声に出して練習しよう。本書は、言語習得の臨界期を過ぎた中高生から中高年まで、すべての英語学習者におくる、英語音声学の精鋭による発音&聞き取り上達のための最強の指南書である。」これがこの本の宣伝文句である。「最強」であるかどうかはともかく、一読の価値はあるでしょう。
[序章 慣れるだけでは聞き取れない、通じない 第1章 つながる音、聞こえない音第2章 音は化ける 第3章 英語らしさはリズムから 第4章 英語の音、最低限これだけは 第5章 綴り字で発音が分かる 第6章 発音記号が分かれば鬼に金棒!第7章 ところ変われば音変わる 第8章 何を、どうやって勉強すればいいのか]

石井隆之・喜多尊史『英文レポートの書き方とすぐに使える例文集』ベレ出版 2001年.303p.
 「レポートの展開に応じて組み合わせて使える例文を豊富に収録。レポート作成の手順を簡潔に解説。
 レポート・小論文に頻出の表現を日本語から引ける索引付き。よく使われる数の英語表現と専門用語別表現一覧を収録。」以上、宣伝文をそのまま紹介します。
[第1章 英文レポートの書き方理論と実践 第2章 レポートの展開に応じた技法別英語表現 第3章 英文レポートを書くための機能別英語表現 第4章 英文レポートによく使われる品詞別表現 第5章 数の英語表現と専門用語 第6章 英文レポートサンプルと作成上の注意点]

富岡竜明・堀正広『ライティングのための英文法ハンドブック』研究社 2008年. 317p.
 「英文法書のほとんどは文法のための文法書だが、本書では、日本人が英文を書くときに迷う項目に焦点を当てて、英作文に必要と考えられる文法・語法の問題を取り上げた。文法的に誤りのない英語を書くということはもちろんだが、「英語らしい英語」を書くための視点を随所に盛り込み、さらに、単語や構文のコーパスに基づく実際の使用頻度にも言及してある。」以上、宣伝文より。
[文の構成―構文のバラエティ 動詞 助動詞 分詞 動名詞と不定詞 受動態 時制単純形と進行形 仮定法 形容詞 副詞(句) 接続詞 冠詞と数 前置詞 関係詞代名詞 比較級 省略構文 否定 作文とコロケーション ことばと文化―文法を超えて]

小林兼之・ガリー・ハント『すぐ使える英文ライティングのエッセンス テ−マ別』研究社 2004年. 256p.
 本書はテーマ別の構成で、英文を書く上で必要となる語句や構文を「すぐ使える」例文で示したものです。エクササイズを通じて最終的には「自分の英文を書く」力がつくようになると、人気予備校講師の著者たちはいっています。
[第1章:天候・季節 第2章:衣・食・住 第3章:健康・病気 第4章:人生・生活・時間 第5章:交通・旅行 第6章:社交・通信 第7章:風俗・習慣 第8章:趣味・娯楽・運動 第9章:天災・災難・事故 第10章:読書・語学 第11章:文化・芸術・科学 第12章:教育・勉強・学校 第13章:政治・経済・産業 第14章:道徳・思想・感情 第15章:社会・環境・国際事情]

石津ジュディス・浅川英理子『こなれた英文Eメールの書き方と表現集』ベレ出版 2006年. 290p.
 Eメールを英語で書けることはあらゆる点で書けないよりも有利です。紙メールが書ければEメールだって書けるわけですが、時代の要請としてこのような本があるということです。
[第1章 こなれたEメールを書くためのヒント(基本的な英文Eメールの書式;件名の書き方;英文Eメールを書く時の注意点) 第2章 各トピックスの表現集(書き出し;ご無沙汰をわびる;お礼を言う;近況報告;いいニュースを伝える;いいニュースに対する返事;悪いニュースを伝える;悪いニュースに対する返事&励まし;共通の友人のニュース;依頼する;依頼された時の返事;誘う;誘われた時の返事;提案する;提案に対する返事;待ち合わせ;旅行の日程を説明する;日本の旅行案内;日本について書く;感想を述べる;自分のことを書く;恋愛;結び)]  (橋沼 克美)
   
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英語で豊かに育つために (井上義夫先生)

                                         






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