“あなたのお名前なんてぇの?”っていう文句から始まる口芸を知っています か?四音節ずつに三分割して、調子良くリズムに乗って延々と文句を連ねていく のですが、今日もっと通りがよい比較をすれば、つまりラップのようなものです 。リズムと音節をリンクさせてメッセージを伝達する手法は、伝統的な口承演芸 の中に古くから見られ、中国では“快板”“板話”などといって、庶民的な芸能 の代表的なものです。この形式を利用して、中国語の声調(四声)練習の材料に 仕立てたのが、今後この欄で次々に紹介していく「練調口訣」です。
リズムの進行は一時も待ってくれないものと考えてください。アトランダムに 配列された音の昇降を、瞬時の逡巡もなく、最後まで流暢に再現する必要があり ます。途中で切れては意味がありません。
リズムは四拍子。一拍の間に二音節発音します。句と句の間に半拍一音節分の 休みを置きます。できればメトロノームを利用するとよいでしょう。学生諸君の 協力を得て実地に試した結果、四分音符の一分間当たりの拍数と、百点満点に換 算した声調習熟度は、ほぼ一致するという印象を得ました。つまり一分間に四分音符七十拍の速度 で全篇を発音できれば七十点、 百拍の速度 で発音できれば百点です。
今回披露するのは「北京短期留学編」です。一橋大学の学生が夏の語学研修旅 行に参加した結果、中国語学習に一層の情熱を燃やす、という設定です。内容は まったくのフィクションであり、事実とはやや異なる点もあることを御了承くだ さい。
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朗読は本学非常勤講師黄麗華女士