国立大学法人 一橋大学 平成19年度採択 現代GP
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活動報告・調査と評価

国際シンポジウム 全文

文部科学省 平成19年度 現代的教育ニーズ取組支援プログラム

「同窓会と連携する先駆的キャリア教育モデル」国際シンポジウム
―寄附講義によるコア・プログラム構築とキャリア形成支援活動との有機的連携―


山﨑
「  それでは、 ここから先ほど講演いただいたカーツ先生、石坂さんにもご参加いただいてパネルディスカッションを進めていきたいと存じます。 ではまず最初にカーツ先生より、これまでの講演の流れを踏まえてのコメント、 もしくは先ほどのご講演のお話の中で何か付け加えたいこと等がございましたら、ご発言いただけますでしょうか。」

カーツ
「今の3つのプレゼンテーションは大変興味深いものだったと思います。 これによりまして私も理解を深めることができました。 いかに包括的に大学はキャリア教育に関して取り組んでおられるかを理解することができました。 また理論というものと、それからその理論の実践ということに関しても非常に興味深く思いました。 また結果というものに私は興味を持っております。 そういうプロセスの結果、どうなったか、どういうような解決策というものをそのプロセスの中から生み出したか、 大久保先生のお話にもありましたように、どのような形でその学生たちはそのプロセスを活用し、 どういうふうにキャリアを決めていったかという話は大変興味深く聞かせていただきました。 まだいくつか気がついたことはありますけれども、とりあえずは以上にしておきます。 また次に谷本先生のコメントでありますけれども、 どうやってキャリア教育とカリキュラムとのリンクを実現するかっていうことですが、 これも我々の大学において苦労しているところです。 キャリア教育に携わっているものとしては、 学生がキャリア教育の理論はもちろんより一般的なキャリア教育のコースを受けて欲しいと思うわけですが、 それを強制することはできません。 いろいろな理由があるから、なかなか大学側の方ではそういうような講義は必須科目に設けることは困難です。 唯一大学の中で学生たちがキャリア教育のコースを受けなければならないのは、 ビジネススクールの部分と、それから法学部です。 そしてそういうコースを受けて単位を取るという形になっているわけですけれども、 それが国際公共学部とそれから法学部だけでしか我々はやってないのです。 以上が私のコメントです。」

山﨑
「ありがとうございました。 では続きまして石坂様からお願いします。」

石坂
「私は大久保先生がおっしゃったリーダーシップについて、 キャリアデザイン論の中で講義をされるというのに、大変感銘を受けまして。 私もはしくれとしてリーダーシップについて研究をしているんですが、 やっぱりリーダーシップ論というようなことを、 いい例をひいてベンチマークを出しながらリーダーシップというのはどういうことなのか、 過去のリーダーシップ、あるいは今までの例えばリーダーシップというのは、 どちらかと言うとカリスマ的なリーダーシップ、日本の場合なんか特にそういうところが強調されるんですけども、 21世紀のリーダーシップというのは必ずしもカリスマ的ではなくて、 もっとコラボレイティブなリーダーシップになってくるのではないかというふうに私は思うんです。 そういうことをやはり早くからディベートの中で学生に教えていかれるというところは、 大変一本筋が通っているなというふうに思いますので、ぜひともこれはさらに続けていただきたいなというふうに思います。」

山﨑
「では谷本先生、何かございますか。」

谷本
「実は私、自分の研究の中で、今ソーシャルビジネスとかソーシャルアントレプレナーということもやっておりまして、 今ちょうど経産省でもそういう研究会を立ち上げて産業構造審議会でも議論しているんですね。 その時に社会的なミッションを持っていて、それをビジネスでやっていこう、と。 それは特にヨーロッパでもアメリカでも、最近日本でもそうなんですけど、若い世代の人たちがね、 いわゆるITベンチャーじゃなくてソーシャルなベンチャーをやっていこうという動きが少しずつ広がっているんですね。 もう1つの大きな関心を持っている層は、先ほどあったベビーブーマーなんですよね。 リタイアした人たちがなにかやりたいと思っている。 ボランティアという選択肢もありますが、それとはちょっと違って、 これまでの経験をもっとストレートにいかした社会に貢献するビジネスにかかわろうとしている。
 そういう意味で社会的企業とかソーシャルビジネスが広がっていて、 そこでよく言われるのは、紹介本なんかでカリスマのストーリーをバッと紹介されたりするんです。 それを見るととてもそんなことはできないよっていうのがあるんですけども、実際にはそういう取組みをしようとすると、 いろんな社会の資源をうまく引き出しながらその人を支える人たちがいる。 ある意味、ソーシャルプロデューサーのような人たちがいて、それも行政からも上手に支援を持ってくる、 企業からも支援を引っ張り出す、地元の人たちの、いろんなステークホルダーの人たちの声を取りこんでいく。 全体をうまくコーディネートして、そういういろんな社会的な思いを形にしていく、 そういうのが新しいリーダーシップ像としてね、僕たちも今議論しているんですよね。 そういうのはほとんど大学の授業の中でも、いわゆるキャリア論でもなかなかない部分ではあったと思うんですけどね。 少しずつそういう違う働き方、思いを形にしていくみたいなことも日本でも出始めたのかな、と。ち ょっとこれしゃべりだすと長くなるのでここでやめておきます。」

大久保
「お話をいただいたので、ちょっとリーダーシップの話を学生としている時の補足的な情報をさせていただきますと、 最初にグループディスカッションをやりまして、 リーダーシップというのはどういうものかグループで定義を考えてくれということをやったんです。 実は大変それぞれ的を射た答えが各チームから出てきたんですが、 その後、リーダーシップというのはこういうふうに過去ずっと定義されてきて、最近新しい潮流でこういうものがあって、 その状況に合わせてこんなふうにリーダーシップを使い分けるということが求められているんだよという、 いわゆる一般的な内容を講義としてやりました。
 グループワークでやっている中にも、すべてのリーダーシップの要素は盛り込まれているんだよということを教えました。 中には発言していない人に、あなたどう思うのっていうふうにふる人もいるだろうと。 これはリーダーシップの1つの配慮とか人間関係をうまく維持していくという1つの軸に関することなわけです。
 あるいはもう1つの軸は問題を解決していくための率先行動をとるのがリーダーシップの軸だけれども、 その人はこういうところから話してみようとか、 もう時間がないからここで少し最後集約しようとかっていうふうに持っていくのがそういう方向のリーダーシップだろうと。 具体的にグループワークの中にも、こんなリーダーシップ要素が埋め込まれていますよという話をするんですね。 グループワークをやった時に、自分がどの役割を果たしかっていうのを確認してみて、 それがきっと皆さんが普段、日常の友達関係や部活動の中で、おそらく自分が果たしているリーダーシップのある部分、 役割をたぶんそれは反映しているんだと思うと。
 でもリーダーシップってそれだけじゃなくて、いろんな側面があるわけで、 次に今度グループワークやる時は、前回自分が発揮した役割じゃないリーダーシップの要素を一個だけでいいから、 ちょっと意識的にやってみようよというような話をしたりしたんですね。 そうすると、学生はなるほどということで結構それを楽しんでトライアルしてみて、 リーダーシップというものをきちんととらえてくれたなという感じがするんです。
 ただ一個気になったのは、講義をやった後に200字レポートを書いてもらった時のことです。 自分が発揮したいリーダーシップ、どんなリーダーシップを発揮したいかというのを書いてもらったんです。 そしたら実は8割と言うか9割方の学生が、サーバントリーダーシップのようなリーダーシップ発揮したいと、 どうも学生あんまり自分が一番先頭に立つことじゃなくて、何か人をうまく盛りたてる方向にばかり思考がいってる傾向があって、 ちょっとそれは全然別の意味で単に気になりました。」

山﨑
「少し議論がリーダーシップという方に進んでいるようです。 ただリーダーシップも必ずしもその社会的なトップリーダーということでなくてもよいように思います。 先ほど来、例えばカーツ先生のお話にも出てきたかと思いますし、実際日本の社会でもよく見られていることだと思うのですが、 面接の場できちんと自分の主張内容を発揮できないというところにもう通じるキャリア教育の1つと考えた方がいいのではないかと思います。 牧原さんいかがですか。」

牧原
「先ほど大久保先生の話にもありましたが、 必ずしも一橋の学生がいわゆるリーダーに向いているというわけでもないと思いますし、 リーダーシップに焦点ばかりいっていますが、 優秀なフォロワーを育てるということも別に大事なことなのではないでしょうか。 持ち前の消極性をいかした優秀なフォロワーを育てることも大切ではないでしょうか。」

山﨑
「ご自由にご発言いただいて結構だと思いますが、何かございませんでしょうか。 それでは少し論点を変えさせていただいて、いわゆるキャリア教育というのとキャリアサービスというのは一体どう違うのか、 大学におけるキャリア教育というのはどうあるべきかというような視点からどなたかご発言いただけるとありがたいと思います。」

谷本
「先ほども少し触れたことなんですけども、あるいは大久保先生もちょっと言われましたですね。 これまで日本の大学でキャリアなんとかっていう名前が最近つくところが増えたけれど、 多くは実は“就職”支援室と、実質はほとんど変わらない部分が多いのではないかと。 インターンシップというものもこの10年ぐらいで日本でも少しずつ確かに増えてきました。 先ほど私申しましたようにキャリア教育のような科目も、ぽつぽつぽつと増えてきた。 しかしながらそれらは必ずしも有機的につながっていなくて、それぞれがバラバラにある。 でもアンケートを取るとかなりたくさんいろんな活動しているように見えてしまうところが、 実は結構多いのではないかなという気がするんですよね。
 どうしても日本の場合に、こういうキャリアエジュケーションというものの歴史はまだまだ浅いです。 そういうことを求められるようになってきた企業社会のあり方も、 最近大きく変わってきた中で急速に求められるようになってきた部分があります。 ですから大学の中で正直言ってなかなかその専門でなければ、意識も弱かったし、 ノウハウもあんまり日本の大学の中では蓄積されてなかったというのは確かにあると思うんですね。 ですから少しずつ今専門の人だけではなくて、あるいはそのキャリア支援室とかキャリアセンターというところだけじゃなくて、 そこがコアになりながら一般の教員たちに、いろんなキャリア教育にどうつなげていくか、 あるいは普通のゼミの中でもあるいはゼミを離れた場でも、学生たちが自分たちの将来を考えたりとか、 あるいは今なぜこの勉強をしているのか、なぜ例えばインターンシップに行く必要があるのかとか、 いろんな働きかけをしていくことが基本的には必要だと思うんです。
 決してキャリア教育の授業さえ出ればいいとか、OBの話しを聞けばいいとか、 インターンシップさえ行けばすべて分かるということではなくて、 それを学内で受けたり学外で受けた刺激と新しい世界への価値観みたいなものを自分の中に取り込んで、 どう学生時代を過ごすのか。 あるいは会社に入って以降も、自分は30代40代どういう事のイメージを持って今のこの仕事をしていくのか、 日本の企業の中ではついつい与えられた仕事をどんどんどんどんやっていくということに追われて、 自分が10年後どういう姿にあるのかということが、なかなか見えにくい。
 ただしこれは先ほど申しましたように、これまではわりと企業社会の中で、長期的な雇用関係がずっとありましたからね。 だから何となく10年後にはあの先輩のようになるんだろう、 20年後にはああいう感じにうまくしたらなれるかもしれない、と想像できた。 ただしこれ女性にとってはなかったんですよね。 女性にとってはそういうロールモデルが社内にはなかなかなくて、 自分は今この場所に与えられてこの仕事をしているけど、その先どういう可能性があるのか、 あるいは、この場所にいることは先の可能性がないのか、ということも見えないみたいなこともあったと思います。
 ですからキャリアデザインというのは決して大学の中だけで完結するものではなくて、 大学を卒業してあるいは仕事をしていく。 企業だけじゃないですよ、いろんなセクターで仕事をしていく。 その中でもずっと自分は何をしていきたいのかということを考え続けていくということがキャリアデザインということの本質だという気がいたしますけども。」

大久保
「キャリアサービスというのが主に就職とかそういったものをにらんだものであれば、 私はそれは3年生から提供すればいいんじゃないかというふうに思うんですが、 そうじゃなくて自分のその将来のパースペクティブを得るためのものであったりとか、 自分が何を勉強、どう勉強していくかということを考えるためのきっかけであったりとか、 あるいは自分のソーシャルスキルを高めるための一連の活動であったりとか、 そういうのがもしキャリア教育というものの中身なんであれば、 私はそれはぜひ1年生の段階でやった方がいいというふうに思っているんです。
 1年生では早いという議論もあるわけですが、一旦大学に合格するとほっと一息ついて見失う感じになるんですね。 ある人はいきなり、一橋大学に入りながら別の専門学校なんかに通ってダブルスクールなんか始めたりするわけです。 そうすると今度は行ってない人は自分も行かなきゃいけないんじゃないかと焦ったりなんかするんですね。 私はせっかく大学4年間、非常に貴重ないい環境の中にいるわけですから、 できればなるべく早い段階でこの大学生活を過ごしてその先の将来にどうつなげていくのかということを考える、 そういうタイミングでキャリア教育というのを提供した方がいいのではないかというふうに思っています。
 できればインターンシップも私は3年生というよりは2年生の時の方がインターンシップのタイミングとしてはより望ましいのかなというふうに思っていまして、 そのうえで3年生、4年生の最終的な専攻、ゼミなんかを選択するという、 こういう流れになった方がよりいいのかなというふうに感想を持っています。」

石坂
「ちょっと足しますと、さっき牧原君も勘違いしてたんですけれども、インターンシップは実は2年生からやってるんですよね。 2年生に対するインターンシップというものは単位を認める形で、通年の形にしておるんです。 実際行くのは夏休みの2〜3週間なんですが、事前事後の授業はちゃんと専任の教授がついて、冬にはその発表会をする。 最終的には受けてくれた企業の方々も招いて、大きなパーティの形で発表会しておるんですけども、それは2年生です。 社会人の実践なんとか講義、すいません、長い名前で私も正確に覚えていないんですけども、これ1年生も出てもいいし、 それから3年生あるンターンシップをやっております。
 ちょっと今回、大学の話なんですけども、最近日本でも、初等、中等教育の中でも、キャリアデザインを考えるような、 つまりいろんな職業について考えさせるようなプログラムが、まだまだ学校教育の場ではないんですけども、 NPOの人たちとかがいろんなプログラムを開発したりして、 少しずつ、今何のためにこの受験勉強しているのかみたいなことをですね、 考えられるようなプログラムを作るようなことも日本でも少しずつ出始めていると。 アメリカの場合にはもう中学、高校でも地元の企業にかなりたくさんインターンシップを送り込んだり、 地元の企業はたくさんインターンシップの学生受けたりしておりますよね。 大学教育以前に。 その辺カーツさんなんかは、大学だけじゃないインターンシップのプログラムについてどう考えられますか。」

カーツ
「はい。 2つほどあるんですけども、その前に私が思いましたのは、いわゆる理想的な状況というのは、 私どもがキャリア教育を学生に、大学にいる時にもちろん提供する、そして社会に出た時にちゃんと準備ができていると、 自分たちで自らの管理ができるというふうにしたいわけですね。 私が興味を持っておりますのは、皆様方は企業がはっきりとした役割、 潜在的にはですけれども、キャリアエジュケーションを提供する準備があるのか、 つまり大学を出た後にそういう準備が企業の側にあるのかということなんですね。 というのも多くの学生たちは必要な技能を持たずに卒業するということがあるんですね。 自分のキャリアをちゃんと形成できないということ。 ですからその企業に準備というのがあると思ってらっしゃるかどうかなんですね。 アメリカの場合は、そこのところが空白の部分です。 その空間の部分を、いわゆる起業家、アントレプレナーのような起業家社会がコーチングするんですね。 キャリアカウンセリングを既に大学に在籍しない人たち、大学を卒業した人たちに対し行うのです。 例えば専門の分野で、お金を払ってカウンセリングをしてもらうわけです。 そういう企業があるのです。 起業家活動があるわけです。 そういうニーズがあるのです。 インターンシップの話に戻しますと、私が強く感じていることの1つとして、 多くの大学も同じ考えだと思うのですが、学生たちは経験が必要です。 そしてその最善の方法はインターンシップです。 ほとんどの学生たちはインターンシップを見つける、自分で見つけます。 非常にリソースがあると言うか、自分たちで見つけられるんですね。 いろんなやり方があって、インターンシップを作り出していく。 社会的な方向を見ているかどうかは別として、学生たちはそういう機会を見つけられる可能性を備えている。 学生たちですから、非常にクリエイティブなリソースがあるんですね。 いろんなことを自分たちで見つけ出して、そして場合によっては自分たちで作り出すこともできる。 そして特にこの頃の学生たちは、いわゆるアントワプレノール、起業家精神でベンチャーを作る、 それで自分でビジネスを作り出す。 例えば2年生でもビジネスを作ることができる。 例えばですけども、小さなグループ、私が属する部署なんですけども、学部なんですけども、 ビジネスのグループを学生が運営しているんですね。 我々はそこにカウンセリングサービスを提供すると、そのビジネスは例えば翻訳ビジネスだったり、 翻訳サービスを提供することもできるんですね。 45の異なった言語で翻訳をするとか、あるいは食料品、フードのデリバリーをするなどもあります。 寮の学生に食べ物を配達するなどのビジネスもあり、それで儲けている。 自分の小さな起業、ビジネスをやっていける、そういう起業家精神のある非常に能力のある学生がいるということなんです。 そういうインターンシップがアメリカでは非常に伸びてきているんです。 どなたかおっしゃったように、雇用側がインターンシップというものを非常に価値があるものとして見ているんですね。 というのも、次にフルタイムに雇うかもしれない人を評価する最善のチャンスでもあるわけです。 そして例えば1か月とか2か月、3か月働いてもらうと、その期間ずっと学生を評価できるわけです。 そして雇うかどうか決めることができる。 すなわち、インターシップ期間は学生に働いてもらいビジネスに役立ってもらうと同時にしかも採用の参考にもできるわけです。 ですから、これは学生にとっても雇用する側にとっても意義のあることです。 これまではこのような制度はいわゆる営利企業の方が中心に行っていたんですけども、 非営利団体の方でもそういうことをやるようになってきております。」

山﨑
「ありがとうございます。石坂さん何か一言、インターンシップのことでも。」

石坂
「インターンシップですね、先ほど私のプレゼンテーションの中でも申し上げたんですが、 やっぱり日本の学生が、日本の企業、あるいはお役所なんかも含めてなんでしょうけど、そういうところもいいですが、 海外のインターンシップを経験してもらうというのが、これから大変重要なんじゃないかなと思います。
 留学生というのは2通りあるんですね。 海外の大学があんまり歓迎していないのが語学留学生だというんですね。 要するにちょっとだけいて、お客さんのように語学だけ学んでぱっと帰っちゃうっていう3週間ぐらいの。 これあんまり歓迎していないですね。 やっぱり1年とか2年とかいて研究をしてほしいと、こういうふうにおそらく海外の大学はこれから求めてくると思います。
 そうするともうちょっと実務的なことをやるには、海外の企業に出てって、いろいろと学んでくるというのが、 大変学生にとっても非常にフレッシュな体験になるんだろうと思います。 そういう意味でもう少し、我々も頭を使ってそういうところを探してさしあげるということが必要だろうと思うんですね。 逆にコロンビア大学の学生がくれば、もちろん我々は歓迎いたしますけれども、 そういうふうにインターナショナルにやるということが大変いいんだろうと思うんです。
 ただ旅費とか滞在費がお金かかるんですね。 日本の国内ですとそんなにかかりませんが、やっぱり航空運賃とか宿代がかかりますので、 そんなにたくさんの方は行かれないと思いますけども、 そういうようなこともひとつ学校の中で考えていただきたいなというふうに思います。
 それからカーツ先生がおっしゃったように、企業側も、確かに大変メリットが多いわけです、収穫が多い。 ウィンウィンのシチュエーションも作りたいんですが、 一方企業の現場では特にいわゆるSMEですね、SMEなんかは非常に忙しいんですね。 忙しくて来られたインターンの学生をかまってられないということもあるんですよね。 ですからそういう問題、どういうふうにバランスとるかというのはこれは大変難しいと思います。 大企業の場合には専任を置きまして、来られた学生が十分時間をかけて勉強していただくように、 勉強って言うか、ハンズオンをかなりやりますが、そういうことができるような環境をある程度持っておりますが、 SMEに行く場合には本当に小さい現場ですし。それからもう一つ考えなきゃいけないのは、 そういうふうに出た時のやっぱり保険ですね。 インシュアランス、これをどういうふうにするのかということを決めていかなきゃいけないだろうというふうに思いますね。 これは学校側がその方たちにつけて、つまり現場に行くことも多いと思うんですね。 中にはそんなにセイフティが保たれないような現場もあろうかと思いますので、その辺も十分考えていただきたいなと。 中小企業に出ていくというのも私は非常にいい経験になるから賛成なんですが、 ちょっとそういう意味では大企業に比べたら働く環境を、こういうものがやや安全に欠けるという点がありますので、 そこも合わせて考えていただきたいと思います。」

山﨑
「ありがとうございました。 時間もございますので、フロアからも議論に参加していただいてご質問等受け付けたいと思いますが、いかがでしょうか。 どなたに関する質問、コメントかということと、所属とお名前を最初にお願いいたします。」


「一橋大学のFと申します。 平成10年卒如水会員です。 今のパネルディスカッションですと、リーダーシップ論とかインターンシップ論の方に話が流れてしまっていて、 本日のテーマである同窓会と連携するという論点があまり深められていないように思いました。 そこで、同窓会と連携することでどういうメリットがあるのか、あるいはこれを如水会に限定した場合に、 先ほど如水会の石坂副理事長が、同窓会が提供できるコアバリューというものをいくつかあげられていましたが、 これは実は、こういうものを専門とするコンサルタントであるとか、NPO団体というのもあるんだと思います。 そうではなくて、如水会が提供するものとしてどういう強みがあるのか、 あるいはどういうことができるのか、あるいはどういう限界があるのか、 そういったことについてお話をお伺いできればと思います。」

山﨑
「はい。ではどうぞ。」


「すいません。如水会の人間ばかり発言しまして。38年のGでございます。
 今の同じ如水会員からの話にちょっと関連するんで発言させていただきますと、 皆様のお手元にありますこの現代GP、これを開いていただきますと、 右側に一橋大学に門戸を開いていただいたインターンシップを受け入れていただいている企業の一覧表がございます。 実は谷本先生のお伴をしてこの企業のうち約8割を我々の一橋マーキュリー研究会というまさに草の根のOB会が開拓をいたしました。 草の根のOB会が開拓をいたしました。 如水会の正式な組織ではございません。 それが1点です。
 それとこの企業に谷本先生のお伴をして回って良かったなと私が思ったのは、切り口はCSRでお願いしたんですね。 CSRでお願いをしました。 従ってどこの企業からも言われました。 一橋さんだけを、一橋の学生だけを優遇するわけにいかない。 こういう会社がどこでもおっしゃいました。 それは誠にごもっともなことで、もし御社がこのインターンシップの制度がない、 一橋の学生を相手にするのが初めてだということであれば、 ぜひ全国の学生さんに門戸を開いてあげていただきたいということを同時にお願い申し上げてあります。 従って今日他の大学の関係者の方々も大勢お見えでございますが、私たちはそういうちゃんと意見を申し上げて、 従って場合によっては一橋の学生をモルモットとして使っていただいていいんじゃないでしょうかというふうに申し上げ、 多くの企業が門戸を開いていただいたわけでございます。
 中には某私立大学の学閥でがちがちで有名な企業がありまして、 最近役員会でそういうことのないようにしようということで、インターンシップを廃止したばっかりですと、 役員会で決めたばかりですと、従ってお断りですと、こういうお話をいただいたところもございます。 しかしながらその会社さんも、ここにリストに名前が連ねてありますが、 そういうCSRという角度、そしてよその大学にも門戸を開くんだという、 そういうお申し出であれば喜んで検討いたしましょうということで門戸を開いていただきました。
 さらに私たちもう1点お願いしましたのは、なんせ国立の田舎でぼうっと育っている学生ですから、 ぜひ都心の学生さんの厳しい競争環境においてやっていただきたいということをお願いをいたしました。
 そして私も毎年谷本先生が主催されるインターンシップの報告会に出ておりますが、 非常にうれしかったのは、学生が自分のITリテラシーに相当自信を持っていたと、 ところが実際にインターンシップで行ってみたら自分の情報リテラシーじゃとっても社会の役に立たないと、 日々自分のITリテラシーを家に帰って慌てて向上させる努力を一生懸命しましたというお話がございました。
 そして昨年、韓国の留学生を受け入れていただいた企業さんは、 その韓国の留学生さんに飛び込み営業のトライアルをさしたんですね。 無茶なことしてくれるなというふうに私は思いましたけども、その学生さんが見事に飛び込み営業に成功されたんですね。 その会社のパートのおばさんたちも含めて、その学生さんの電話での対応、応対、アポイント取り、聞き耳を立てて、 あなた次回はこういうアポイント取りの仕方にしたらどうだっていうようなアドバイスもし、 そしてその学生が成功をおさめたということで職場でみんなで拍手喝采をしてくれたと。 韓国という国は必ずしも教科書問題これありで、親日的な教育を受けておられる方々ばかりではありませんが、 そういう経験をこのインターンシップ活動を通じてできたということは草の根のレベルでご協力申し上げた私としては大変うれしかったということでございます。 余計な補足をいたしました。」

山﨑
「どうもありがとうございました。 先ほどのFさんのご質問は、どなたに答えて欲しいというのはありますでしょうか。」


「どなたでも構いません。」

石坂
「同窓会が書いていることはかなり一般的ではないかと。 今日わざと一般的に書いてあります。 それはいろんなオーディエンスの方がおられますので、一般的に書いておりますが、 自信のほどを示せということだと思いますので、我々如水会は、 日本で最高水準のレベルのインテリジェンスを持ってしっかりそういうものを学生にお伝えするという責務を負っていると思います。 ですから、そういうレベルのものを、提供できると思いますが、 それを言い出したら、具体的にやらないとお分かりいただけないと思いますので、 ちょっと今日は勘弁していただきたいと思いますが、 最高水準のものをご提供できるという自信を持って我々如水会では考えて出しております。」

大久保
「確かに今回、同窓会と連携するというプログラムでGPを取ったんですが、 これほどネットワークのかちっとしたOB会を持っている大学というのはないと思います。 OB会というのはあるけども、実質的に有名無実であったり、 あくまでその人、OBの方たちが定期的に集まったりとか、総会があっても一部の人しか集まらなくて、 なかなかこういうプログラムをやるので、いろいろ資源を提供してほしいとか、 力を貸してほしいといってもそういうプログラムに協力する体制ができていないところが実は圧倒的に多いと思うんですね。
 もしこのようなOB会がなければ個別に企業と交渉せざるを得ないわけですよね。 ところがOB会というものにはいろんな方、いろんな企業の方々がおられるわけですから、 そこに1つのお願いをしたり、そちらからまたいろんなお願い、決定をしていただくと、 一気に、私たちが一社一社まわらなくてもいける場合もある。 インターンに関しては一社一社まわってお願いしたわけでありますけども、そういうメリットは確かにあるんですよね。 ですから今回のGPに関しては全く同じプログラムが他大学でそのままできるかと言うと、 OB会の組織力やネットワーク力がどこまであるかというところで難しさがあると思います。
 ただしないからできないじゃなくて、私、こういうことを通してOB会がもう一度リユニオン、 まさに言葉通りユニオンしていけるようなですね、機会になるのではないか。 つまり各学年で核になる方、絶対おられると思うんですよね。 そういう企業の方々に声をかけて、大学のキャリア教育に支援をするんだよと、学生たちがまたその企業に行ったりして、 まさにインターンシップをするとかいうプログラムをキャリアセンターとか支援室の人たちがコアになって作り込まれていけば、 一つの可能性は出るんじゃないかなという気がいたします。 とにかく個別の企業に一個一個まわるとなったら、こんなとてつもなく大変な作業、容易なことではございませんけども、 OB会という形で、いろんな業種の方がおられる、あるいは経済団体、地元の経済団体なんかにもいろんなコネがあると、 広がっていく可能性は私はあると思います。」

山﨑
「私からも一言、付け加えさせていただきますと、 今回のキャリア教育モデルと同窓会と連携するということの中で強調しておきたいのは、 いわゆるキャリア支援とかキャリアサービスでの連携ではなく、 キャリア教育に踏み込んだ形での連携をお願いしていることだろうと思います。 授業の中でゲストスピーカーとして何人か来ていただくという形ならば他大学でもいろいろあると思います。 本学では組織的、体系的に、社会実践論やキャリアゼミと形でお願いしており、 さらに発展させた連携も考えられるというふうに思っています。  他にどなたかご質問、ご意見等ございませんでしょうか。 どうぞ。」


「私は佐賀大学のHと申します。 今日のテーマ、同窓会なんですけど、その以前でこの牧原さんのお話、非常にちょっと感動して、 私も自分の大学で学生から機運が盛り上がって、企業とネットワークとか就職もそうですけれども、 インターンシップとか、そういうものが持たれていけばなというのを理想と考えています。 それでこういう前提でちょっと卑近な質問なんですけど、学生の組織として運営する場合、 牧原さんの委員会ですね、ちょっと言葉をにごすと、具体的に言うとスポンサーというか資金面なんですけれども、 どういうふうに結局こう集めてやってらっしゃるのかということですね。 私どもも学生の団体というのがあって、会費を求めたりしてるんですけれども、 どういうふうにされているかというようなことを聞きたいなと思っています。」

牧原
「金銭的な部分ではキャリア支援室からかなり援助をいただいています。 ただ講演者のゲストの方々にオファーする時は、学生相手だから講演料はなしでいいと言っていただけるので、 あまりお金はかかっていません。 必要な物資であったり多少の、お金に関してはキャリア支援室からいただいております。」


「それはキャリア支援室からは恒久的に出せるんですか。 その学生さんに対して、そういう仕組みがあるんですね。 はい。 ありがとうございました。 ちょっと大事な質問だと思うんですけれども。」

谷本
「一言だけ申し上げますとキャリア支援室ですから、毎年3年生になる手前の2年生をオーガナイズするんです。 ですからほっておいても学生が自主的にやってくれて我々をつっついてくれるかと言うと、必ずしもそうでない時もある。 年によってかなり差があります。
 ですからもちろんキャリア支援室のスタッフが、いろいろ手を差し伸べたり、いろいろ声をかけたりして、 学生たちに刺激を与える。 学生たちもこんなアイディアがあるともちかけてくる。 まさに両方の刺激の中で取り組んでいます。 決して彼らのプログラムに対してわれわれがこれはダメだとか、これをやれとかいうことは言わないですね。 だから資金面と場所といろんなサポートをする、 あとは学生たちが自分たちのプログラムをどんどん作っているという状況であります。 以上です。」

山﨑
「ついでながら如水会寄附講義もすべてボランティアベースでお願いしております。
 ではどうも長い時間ありがとうございました。 私の不手際で後半のパネルディスカッションがまとまりを欠いたと反省しておりますが、 おかげさまで活発に討論いただいたと感謝しております。 最後にもう一度講演者およびパネラーの方々に拍手をお願いいただければと思います。」
 
(拍手)
 
山﨑
「それではこの後5時半から富士の間、この同じフロアの奥の方でレセプションがございます。 あらかじめ申し込んでいただいていなくても結構ですので、どうぞご参加ください。 またお帰りの際にはお手元にありますアンケートにご記入をぜひお願いいたします。」
 
(拍手)
 

※ ○○表記は音声認識不明箇所です。

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資料

  1. 国際シンポジウムパンフレット (PDF)

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