国立大学法人 一橋大学 平成19年度採択 現代GP
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活動報告・調査と評価

国際シンポジウム 全文

文部科学省 平成19年度 現代的教育ニーズ取組支援プログラム

「同窓会と連携する先駆的キャリア教育モデル」国際シンポジウム
―寄附講義によるコア・プログラム構築とキャリア形成支援活動との有機的連携―


山﨑
「それでは続きまして、コロンビア大学キャリア教育センター長のカーツ先生にお話を伺いますが、 その前にこのレシーバーの使い方をご説明させていただきます。 スイッチを入れていただいて、同時通訳がついておりますので、通訳の日本語をお聞きになりたい場合には1チャンネルを選んでください、 音量も調整できるようになっております。 ではカーツ先生、お願いいたします。」

カーツ
「ご紹介ありがとうございます。 皆様、こんにちは。 この度のシンポジウムに参加できること、皆様方にお話できる機会をいただいたことを光栄に思います。 このシンポジウムを開催したことは、まさに高等教育における情報共有の伝統に則ったものであると思います。 私はかつてウォールストリートで仕事をしておりましたが、 その後アカデミアに入り最も驚いたのはここでは情報を共有しているということでした。 ウォールストリートではすべて触れたものは極秘でなければならない、 自分たちの名前でさえ極秘にしなければならないと言われておりました。 多くの教育機関が情報を共有し合っていることに関し心強く思います。 こういうトレンドを私自身も支持しておりますし、 また、ますますそういう状況が拡大していることをうれしく思っております。 情報の共有は米国においても、そして国際的にも拡大しています。 一橋大学および如水会の方々に対しまして、このシンポジウムを開催していただいたことに、 また私を招待していただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 藤原さんのコメントにもありましたけれども、 キャリア教育において、アメリカと日本に多くの共通点が存在します。 したがって、日本におけるプラクティスについて注意深く拝聴させていただきたいと思っております。 またアメリカと比べてどうであるかということも考えてみたいと思います。 アメリカのトレンドとしては、マクロトレンドについて特に焦点をあてたいと思います。 特に、様々ないろいろなプログラムや意思決定の状況から、キャリア教育において推進する要素というものを見てみたいと思います。 そしてコロンビア大学およびアメリカの全般的な状況を見ていきたいと思います。 高等教育における人口動態的なトレンドについては、学生たちの内訳がどうなっているかの詳細、 また学生と雇用主のキャリア教育に対する期待、それから外部からの挑戦というものがどういうものであるか、 そしてさらに私が所属するコロンビア大学において、 外部および内部のトレンドについて我々がどういうふうに対応しているかお話したいと思います。 また、最後に将来の方向性についてお話したいと思います。 キャリア教育が今後どういうような方向に向かおうとしているか、 またぜひ皆様方のコメントも聞かせていただければと思っております。
 私は主に大学院を担当しています。 修士あるいは博士課程の人たちを対象としていますが、私のコメントが全般的なものであり、 学部の学生たちをも対象としたものになることを期待しております。 重要なことは、私自身がキャリア教育の進化というものを過去25年間にどのように見てきたかということです。 その間、専門家としてキャリア教育に参加しましたし、学生であったこともあります。 また雇用主として多くの大卒を採用したわけですけれども、 なぜキャリア教育という言葉を使っているかということから始めたいと思います。
 なぜキャリアサービス、あるいは就職斡旋という言葉を使っていないのか。 こちらの方がよっぽど一般的には使われているのに。これには、1つの変化があります。 どういうモデルが適用できるかということが雇用主の間で変わってきているのです。 キャリアサービスを提供するプロとして、そういう変化に対応しなければなりません。 かつて私が銀行に勤務していたころ、一緒に勤務していた二人の同僚が、合わせて83年間の経験を持っていました。 我々が疑問点とか質問がある時はこの二人に聞くことができました。 その二人が銀行業務に関するメンター的な存在であったわけですが、最近ではそのような人は米国企業にはなかなかいません。 もっと重要な傾向として、この15年から20年の間、 社員が自分自身で管理をして自分たちのキャリアというものを考えていかなければならなくなっていることです。 かつては雇用主がキャリアガイダンスを提供したわけですが、今は雇用主は個人にキャリア管理を任せてるという状況です。 そのため、キャリアサービスのプロとしての私のゴールは、 トレーニングあるいはプログラムなどを提供することによって学生たちにツールを提供し、 彼らが社会に出てからも自分たちでキャリア管理をできるようにということです。 と言うのは、多くの人たちは5〜6回多い場合には7回ぐらい転職すると言われています。 そうすると転職する度にキャリア形成のツールやスキルを活用していかなければなりません。 そのため我々は、一回きりのトレーニングプログラムを学生たちに提供するのではなく、 理想的には一生涯通して使うことができるようなキャリア教育を提供するように重点を変えました。
 次に、人口動態的な変化についてお話したいと思います。 アメリカの学生たちの状況、そしてそういう状況の中からキャリア教育に関するコメントをさせていただきたいと思います。 まず4年制大学への入学率です。 4年制大学への入学状況ですが、高等教育における学生の3分の2ぐらいを占めております。 1980年から2005年までで45%も増えているわけですが、 これはなぜ増えているかと申しますと、雇用主が求める学歴の水準が年々高くなっているからです。 そのため職を探すためにはより高度なスキルが必要となっているのです。 アメリカにおける高等教育入学率の上昇は、まず4年制大学において、さらに大学院などにおいても見られます。 また男女比を見てみた場合も変化が起きております。 1980年から2005年までの間に、高等教育における女性の比率が相当大きく伸びております。 これは、女性の雇用機会が25年あるいは30年前に比べて急速に増加した状況を反映していると思いますが、 一方で、いろいろな職業において競争が激化していることを示していると思います。 経時的に変化の詳細を見てみますと、まず最初のグラフでは、 学士号取得者が1980年から2005年の間に54%ほど増えていることがわかります。 この54%の増加は全体的な人口増加のパターンに即していますが、 修士号取得者、そして博士号取得者数を見ると相当数が増えており、全体的な学生数の増加以上の伸びというものが見られるわけです。 学歴の格差が出ていることが伺われます。 なぜこのような格差が出ているかについては、より深く掘り下げてみなければなりませんが、 しかし修士号以上を求める学生が増えているのは、 雇用主および学生たち双方が専門性の水準というものをより高く求めていることを示していると思います。 その詳細については後でお話したいと思います。 また、留学生も増えております。 アメリカの高等教育における留学生が増えておりますし、 またMBAがあらゆる国から多くの人気を呼んでおり、MBAのプログラムに入学する国内外の学生が増えています。 さらに博士課程の学生の増加ですが、修士課程と同じように学生たちの間でより専門性を高めて、 自分たちの職業あるいは自分たちの分野における専門知識をさらに高くしようとする動きが見られます。 これらのことは、いろいろな職を奪い合う中で、いかに競争が激しくなっているかということも示しているわけです。
 近年の変化をもっと深く掘り下げて見てみましょう。 修士課程の学生数を見た場合、民族別に見てみますと、1981年から2005年にかけて、ラテン系以外の白人の学生数が減少しています。 2%下がって66%になっているわけですが、一方、その他の82%から66%に見られる他の民族では増えています。 黒人、ラテン系、アジア系、太平洋諸島、あるいはインディアン、あるいは非永住外国人などの数が増えているわけです。 非永住外国人というのは留学生のことを指しておりますので、修士課程における留学生の数が大きく増えているわけです。 留学生が修士課程において2番目に多くの数を占めているということは、私にとって1つの驚きでもあります。 すなわち、修士課程においては一層多様性が増しているのです。 博士課程を見てみましょう。 全体的な数字を見ると、ラテン系以外の黒人の学生が約3倍、ラテン系は約5倍ぐらい増えています。 またアジア系や太平洋諸島の学生たちも5倍ほど増えており、アメリカ先住民の学生数は約3倍増えています。 博士課程でも修士課程と同様の現象が見られるわけです。 すなわち多様性が高まっているのです。 そして留学生も増えております。 修士課程における留学生の占める割合は8分の1でしたが、博士課程では4分の1を占めており、 アメリカの博士課程においていかに留学生が多いかということがわかります。 彼らはプロフェッショナルとして非常に重要な存在です。 私が把握する就職候補者のうち、修士課程と博士課程における約半分が留学生です。 彼らはユニークな質問を投げかけてくるわけであり、 ユニークな問題を抱えており、ユニークな目的というものを持っています。 コロンビア大学においても、また他の大学においても、このような学生の対応にかなり力を入れるようになってきております。
 それでは留学生のトレンドを統計で見てみましょう。 1960年から2006年までの状況を見たものです。 過去わずか15年間に、50%も留学生の数が増えています。 そして今や50万人強になっています。 留学生の上昇は2001年9月11日直前がピークだったわけですが、その後ちょっと下がって、また再び増えております。 これにはビザの問題や仕事の数の問題が関係しています。 なぜこのような人口動態についてお話させていただいているかと申しますと、 これら統計はいろいろなトレンドや課題と同時に、様々な懸念事項も示します。 我々はそういった事項に対応し、キャリア教育のニーズを満たしていかなければならないのです。 すなわち学生たちのニーズに対応しなければならないわけです。 では留学生はどこの出身の人たちでしょうか。 ニューヨークのフォード財団の統計では、ここでは2年分しかお見せしていませんが、 過去10年あるいは過去15年間だいたいこのパターンになっています。 インド系が最も多く、次いで中国、韓国、日本、台湾という順番です。な ぜこれらの国がランクの上位を占めているのでしょうか。 大国が並んでいますが、これらの国は企業家精神が豊かであり、経済的な移動性が高く、 これらの点が高等教育への留学生が多いことにつながっていると考えられます。 しかしこれについては逸話に従ったコメントですので、皆様方の感想もぜひ聞かせていただければと思っております。 もう1つの関心点は、これらの留学生はどのような大学へ行っているのかということでが、その統計を見て私もビックリしました。 最も留学生が多い大学は、USCすなわち南カリフォルニア大学で、ロサンゼルスにある私立大学です。 その次はコロンビア大学です。 私のいるところです。 コロンビア大学はUSCに比べてはるかに学生数が少ないわけですから、留学生が相当多いわけです。 全体の24.3%が留学生です。 コロンビア大学の次はニューヨーク大学です。 コロンビア大学と同様ニューヨーク市の私立大学です。 それからイリノイ大学、そしてパーデュー大学です。
 ではなぜこれらの大学にこれだけ留学生が多いかということですが、 おそらくこれらの大学が留学生にとって非常に魅力的なものであるからと考えられます。 まずUSC、コロンビア、そしてニューヨーク大学というのは大都市にあるという点。 ニューヨークとロサンゼルスにあるわけです。 それから沿岸地域にあり、そういった土地柄が留学生に人気があるのです。 そしてUSC、コロンビア、ニューヨーク大学、そしてパーデューとも私立大学です。 この5校は全て研究大学機関と言われています。 すなわち学士号のみならず、修士号、博士号を取得することもできます。 イリノイおよびパーデュー大学は4番目5番目ですが、工学部で知られております。 アメリカに来る多くの留学生は、定量的研究法、定量志向のプログラムを専攻する傾向にあり、 その統計は後でまたお見せしたいと思います。
 どういった分野を専攻するかということは、 キャリアサービスのプログラムに反映することであり、その点を見てみたいと思います。 まず学士号では、社会科学を専攻する学生が多いことがわかります。 社会科学というのは学生たちにとっての非常に良いキャリアの準備であると考えられますし、私もそう思います。 また大学院に行くための良い準備になります。 次に修士課程ですが、少々状況が異なります。 これは留学生に顕著に見られる状況ですが、相当数の学生は修士課程で工学を専攻します。 また社会科学専攻も増えております。 またその他の分野においても数が増えております。 アメリカにおける留学生の絶対数が増加していることが、分野の拡がりに貢献しているものと思われますが、 これは統計データであり、あくまでも一つの意見です。 博士課程でも、非常に多くの学生が工学部を専攻しております。 しかし教職を得るために工学部の博士号を求める学生はそんなに増えてはいません。 工学部では、特にコンピューター・サイエンスが人気を呼んでおります。 コンピューター・サイエンスに関しては、 先ほどのスピーカーの方も指摘されたようにIT分野における資格者が求めてられているわけです。 また、例えば生物学では、バイオテック産業などの仕事を求めている人たち、 研究や医学の資格を取得したいということで、学生数が増加しているわけです。
 簡単にマクロ統計を紹介させていただきましたが、アメリカにおける高等教育の状況をまとめますと、 まず、人口動態や就学率のトレンドによってキャリアプログラム上の様々な判断が影響を受けます。 米国においてはますます学生数は増えています。 ところで、今朝の新聞を読んだところ、米国大学に入学する学生数は今後5年から10年の間減少するという予測が出ており、 ちょっと驚きました。減少するようなきざしというのは見られておりません。 しかしたまたまその記事を今朝見たので、ここであえて紹介しました。 アメリカの学生は、国際化が進んでいますし、非常に多様性がありますね。 民族としてもまた出身国から見ましても。 これに伴い関心分野、どういう分野を専攻するかについても非常に多様性があります。 しかしこの学生たちは非常に競争力の高いグループであり、 大学その他の教育機関についても非常に競争力の高いところを選択します。 キャリア教育はこれらのことを考慮して、様々な決定をしなくてはなりません。
 こちらのスライドをご覧ください。 現在大学にいる学生たちというのは主に自分たちの世代としか交際・交流していないのですが、 学生たちはいずれ雇用にそなえなくてはなりません。 その際に、彼ら個々人が異なる世代的バックグラウンドを有するということを考慮しなくてはなりません。 例えば、いわゆるベイビーブーマー世代、つまり1947年から1964年に生まれた人たち、私の世代なんですけれども、 そういう人はいわゆる反乱世代であるといわれています。 理想的であり、独立志向が強く、そして非常にアグレッシブ、これはステレオタイプなんですが、 このような人間の多くがこの世代に入っていると言われます。 その次の世代はジェネレーションXの世代であり、ベビーブーマーとはかなり異なります。 育てられ方も違う、経済状況も違う、政治状況も違い、より受動的、消極的であり、反応型であると言われています。 そしてあまり決定的なことはしない。 しかしながらこの世代というのがまさにこのグローバル化の世代に遭遇した世代なのです。 ですからこの世代の人たちの方が私の世代より国際的なんですね。 そして世界の国際的な状況というものに対してより感応度を持っている。 そして今現在大学にいる学生たちの世代、まさに就職しようとしている人たちなんですが、 ミレニアム世代、つまり2000年代に生きるべく時代に生まれてきた人たち。 Y世代、ジェネレーションYとも呼ばれていますね。この学生グループが今まさに私たちが教育している人たちです。 キャリアサービスの対象となっている人たち。この人たちが就職し、今社会に入らんとしているわけです。 アメリカですと、この世代は学校でもそして社会的な面でも前の世代よりもより恵まれていた、 より支援されてきた、よくガイドを受けてきたといわれます。 いろんな生活の局面でケアを受けてきたので、求めるものが非常に高く、期待度が高いわけです。 このようなことから、これら世代がキャリアサービスに何を求めているかを考えたいと思います。
 彼らは構成のしっかりしたプログラム、いわゆるインフォーマルなものではなくて、 しっかりとしたプログラムや側面的支援を求めます。 キャリア形成において第1部、第2部、第3部というような感じで明確な目的があり、 また、多くの機会を求めています。インターンシップなどの機会がこれにあたります。 アメリカでのインターンシップというのは日本より長期的なもので、典型的な期間は1か月から3か月です。 多くの学生たちはそこで仕事をしてみたい、キャリアをちょっと試してみたい、少し実験をしてみたいわけですね。 短期的な学習のチャンスを通して、その結果として多くのキャリアの選択肢を得ようとするわけです。 また、量とバラエティを求めます。1つや2つの分野だけじゃなくていろいろ求めるものがあるということなんです。 キャリアサービスだけではなく、雇用側、コンサルタントたちに対しても多くを求めているのです。 また彼らはインターネットで育ってきた世代ですから、コミュニケーションの方法も多様です。 インスタントメッセージとかあるいはソーシャルネットワークですね。 それからE-mailやコンピューターのSNSとか、いわゆる郵便とかそういうものだけではないわけですね。 ただ、それらはすべて教えられてきたもので、使用を決定するのは親や組織であった。 ですから自分たちで決定をするということがなかなか難しい世代であるわけです。 ということで、学生たちは就職活動をして、2社、3社から採用したいと言われても、 自分が社員として長期にわたってそこで働くかということは決められない。 つまり恒久的な決定ができにくい世代でもあるわけです。 そういうことを我々は考慮してプログラムを組みます。 この世代が雇用側に何を求めているかというと、 今の学生たちが子供の時にその雇用者の世代は大人、成人だったわけですから、 まずいろんなガイダンスや監督を期待します。自分たちが何かをやったら、それを認めてもらいたい、 そしてそれに対してお金も欲しいということなんです。 即時に見返りがあることを期待するんですね。 フィードバックはすぐに。 またキャリアに関しても仕事に関してもフレキシビリティというものを雇用側に求めます。 そして今の雇用主に満足できなければすぐに転職したいと思うわけですから、 仕事に対するロイヤリティ、忠誠心が、私の世代と比べるとかなり違うのです。 私たちの持つような忠誠心というのは非常に古いと思っている傾向があるわけです。 彼らが私たちと同じ期待を持っていると考えてはいけないわけです。
 では、雇用側はこの世代にどういうことを期待しているのでしょうか。 これは学生に対する期待、そしてキャリアサービスの私のような専門家に対する期待の両方です。 コンサルタント会社であるマッキンゼーは、「才能を求めての戦争(War for talent)」という言葉を作りだしましたが、 これは、労働市場で最も有能な人間を獲得・雇用するための企業間の戦争を意味します。 かつてはそのタレントが、シニアマネージャーやトップレベルの人材を対象にしていましたが、 今それが大卒全体に対しても求めるようになっています。 非常にアグレッシブに、才能のある学生を、多く雇いたいと企業は考えています。 そして大学の評価をよく調べて、例えばコロンビアの卒業生のような最高の学生を選ぼうとするわけです。 彼らはそのような人材獲得のサポートを私たちに求めます。 例えば、早い段階で有能な学生と連絡を取って話をしたいということになるんですね、 初動の有利性を考え、できるだけ早い段階で学生たちにアクセスしようとするのです。
 それに対して我々はもちろんその学生たちを雇用側から守らなくてはいけないという部分もあるのです。 大学は最適かつもっとも可能な支援もしなくてはならない。心理的な部分のサポートも必要です。 そして個々の学生に適したチャンスというものを与えなきゃいけないということがあります。 雇用側は私たちに対して、個々の企業の期待というものを学生に伝えてほしい、 インタビューを受けるよう学生に伝えて欲しいと要請してきます。 ですから我々はまず雇用側と話し合います。 そうして、その内容を効果的に学生に知らせるようにします。 また、就職活動には色々なテクニックが伴います。 学生たちはその準備をするのですが、準備のできた学生たちは仕事を探す基本的技能を有しており、それを示すことができる。 例えば、良い履歴書を書くだけではなくて、面接でもちゃんと考え深く、 そして流暢になぜ自分がその企業への就職を望むのか、なぜ企業は自分を採用するべきなのかを言えるのです。 雇用者からある学生について、非常に賢いかもしれない、非常に才能があるかもしれない、 しかし最も簡単な応募動機についてちゃんと説明ができないという苦情があったことがあるんです。 説明をする力、自分自身のことを話すということがうまくできない学生がいるということなんです。 それは仕事を見つけようと思えば基本的な才能として必要なことなのです。 就職の準備ができた学生というのはそのようなことができる学生ということなのです。
 「理想的な人員採用」、藤原氏が先ほどそういうことをおっしゃっておられましたけれども、これがまさにモデルなのです。 学生に、雇用者はどういうことを求めているかを説明する時にこれを使います。 ソフトとハードを含む、就職に必要なスキルや達成状況です。 ハードと言うのは、学歴、成績関係ですね。 スカラシップをもらったとか、特別の賞金をもらったとか、グラントをもらった、 あるいはプロジェクトで多くの成果を出した、何か企業家精神を示すような。 インターンシップでいい結果を出したというのもハードに含まれます。 ソフトというのはコミュニケーション能力などです。 自分のことを難なく、流暢に説明できるような能力です。 成熟性や判断能力、問題解決能力などももちろん求められます。 これを教えるのがなかなか難しいのです。 しかしながら私たちはキャリアサービスの専門家として学生たちにこのような能力を養成する機会を与えます。 まずインターンシップとか、企業家的なベンチャー活動を通して、学生たちがそのような能力を示すことができるようにします。 例えば、問題解決能力やクリエイティブな能力を、多くの企業は面接でテストしようとします。 採用担当者が仮定的にビジネスの問題を学生に出すわけです。 常識的理解力を用いて、理想的には創造性のある解決力を駆使して、ビジネスの仮定課題を解決するよう問いかけてくるのです。 演繹的な試みにおいても、積極的に問題解決を図ろうとする技能を探ろうとするのです。 企業がそのような能力を求めているということは、学生のインターンシップなどの経験がとても重要になります。 その点で我々の教授達や同窓会、そして企業との関係がとても重要です。 これらの関係からインターンシップの機会を作りだし、仕事・雇用への準備をしていくのです。
 もちろん、外的な影響もあります。 経済、商業、政治的な環境の変化です。 これらは学生の求職に大きな影響をもたらします。 例えばアメリカで金融危機の可能性があると、それは求人に影響を及ぼします。 特定の企業の、例えばサブプライム問題とかは、金融関連の求人動向に影響を及ぼします。 大統領選挙の結果も、1年後ですが、大きな外的要因となります。 それからもう1つ、就業ビザの数も影響があります。 それから、親や大学の同窓生たちの活動も影響します。 最近は以前よりも子どもの大学生活に非常に大きく関わる親が増えてきています。 大学に入学後も子どもたちに関わりたい、そしてキャリアサービスにも親たちが関わってくる。 そして子どもたちの就職決定にも関わってくる。 さらに、就職など恒久的な決断に関わろうとするのです。 そのような親をアメリカではヘリコプターペアレンツと呼んでおり、ご存じの方もいらっしゃることと思います。 親たちが子どもの上からずっとヘリコプターで見てるわけです。 そして何か決定する際に意見するということで、ヘリコプターペアレンツという言葉が出てきています。
 一方、大学にとって同窓会というのは非常に重要です。 いろんなレベルがあります。 キャリアサービスという面から見ていきますと、最も重要なのは特にメンターシップです。 つまりガイドをしてくれる、指導して下さるということなんです。 大学が学生たちにいろんなキャリアに関する情報を提供する時に、そこに例えば同窓生が情報を提供してくださるとか、 メンターとして指導してくださるとか、あるいは雇用側の立場でインターンシップとか、 あるいはフルタイムの職業経験を与えてくださる。
 雇用市場での競争が厳しくなっています。 そして学生に対する期待も高まっています。 また、国際化における急速な技術的進化も考えなくてはなりません。 一部のハイテク産業に非常に多くの仕事が集まっています。 代表的な国際的IT企業には、マイクロソフトやグーグル、ソニーやタイムワーナーなどがありますね。 それら企業とは消費者として接するとともに、社員として、ITのプロとして関わってくるわけです。 専門化の高まりもあり、学部レベルにおいても専門性を高めようとする動きがあるのです。 学生たちはある特定の分野で早いレベルから専門的スキルを身に付けようとする動きがあります。 私の大学生の姪ですが非常に才能があります。 まだ学部2年生なのですが、すでに将来の決定をしようとしています。 分子生物学を専門とするかあるいは有機化学を専門にするか、今決めなきゃいけないと思っているんですけ。 まだ早いんじゃないかと私は思うんですが、 いろいろと急がなくてはならないというような気持ちがあり、プレッシャーを感じているのです。 このような面でもカウンセリングが必要です。 何をするべきか、早い時期から専門を狭くすると、今度は雇用の方が限定的になってくるかもしれない。 そうするとまたやり直さなきゃいけないことになるからということで、カウンセリングが必要になるのです。 それからもう1つ、私たちのクライアントにはキャリアの途上にある方々もおり、 私は、「顧客」と言っているんですが、大学の同窓生です。 あまり多くはありませんが、また多すぎると大変ですが、同窓生が戻ってきてコンサルティングをうけるのです。 仕事を変えたい、キャリアを変えたいと言うんですね。 カウンセリングが必要だ、キャリアアドバイスが必要だ、ガイダンスが必要だという人たちが卒業後もいるわけです。 お金を寄付するために来るんじゃなくてキャリアのアドバイスを求めて大学にやってきます。
 まとめますと、まずマクロのトレンドというものを見てきました。 キャリアサービスへの需要がさらに高く、広く、そして多様性を帯びてきています。 キャリアプロフェッショナルが高い期待を背負っている。 学生から、そして業界から広くスキルが求められている。 カウンセラーとしても、そしてまたアドバイスを与えるうえでも広く期待が深まっているということです。 学内でもよく見える存在になってきているんですね。 以前までは、学部で最後の年に学生たちはやってきたんですけれども、 今や学生たちは大学に入って最初の年にやってくるんですね。 まだ入学していない学生たちのためのプログラムもあります。 学生が大学を決める際にキャリアサービスも選択条件の一つになっているんですね。 大学へは教育を受けるために来ているのですが、より良い仕事を見つけるためにも大学を選んでいるのです。 そういう意味でキャリアサービスのプロフィールが高まっているのです。 そしてテクノロジーの重要性ですね。 グローバルな視点で新技術の展開をみることが重要です。
 ここまではマクロ面で見てきましたが、今後はミクロの観点から、 特にコロンビア大学における状況についてお話したいと思います。 これまでお話した傾向にコロンビア大学では実際にどのように対応しいるかということですが、 3、4年前ですか、自分たちがどういった形で組織化されているか、 どういった形でキャリアサービスを提供しているかについて、基本原則に立ち返って、全てについて再検討を行いました。 まずは計画・立案のプロセスについて見直し、プランニングに関しては異なったアプローチを取ることになりました。 それぞれについて後ほど説明します。 それからニーズ評価も行いました。 つまり、我々が行っているプログラムあるいはトレーニングを行う際に、どのような学生のニーズがあるのかを明らかにしていく。 そして我々が組織としてどういう使命を持っているか。 これを見直し、そしてその使命の内容を明確にし、 制限を見直したうえでいろいろな新しいプログラムを行うということになりました。 そして学生に対していろんな形でサービスが提供できるようにしたのです。
 最初に、プランニングプロセスの見直しですが、より包括的なプロセスを取るようになりました。 つまりスタッフの上の者だけが関わるのではなく、スタッフ全員が参加するようになりました。 これによって我々の意思決定に対する信頼性を高め、さらにはいわゆる「バイイン」、 つまり、我々の決定が学生から受け入れられる前にスタッフからも受け入れられるようにしました。 またプランニングのプロセスに関わるスタッフを増やし、キャリアサービス以外の分野で関係する人たちも含めるようにしました。 さらには外部の利用ということも考えるようになりました。 外部の専門家で我々のプランニングプロセスを助けてくれるような人たちにもお願いするのです。 つまり、より専門性の高い形で組織の運営を図っていくことになりました。 それまではキャリアカウンセリングは、カウンセリングが中心でしたが、 今ではさまざまな目的を持つようになりました。 これは後でご紹介しますが、プランニングプロセスの専門性を高めるということになります。 さらに関係者のニーズはどうなのか、つまりステークホルダー(利害関係者)は誰かを明らかにしようとしました。 このステークホルダーとは我々の活動に関心のある人たちです。 我々に何が求められているのか。 我々は何を提供できるのか。 こういった情報をもとに自分たちの使命とするところのミッションステートメントを立てなおしました。
 次に、ニーズの評価ですが、さまざまなステークホルダーを対象に様々なグループと話をしてみました。 それぞれの考察と経験をもとにどういったプログラムが必要かということを考えたのです。 さらに学生に対しての調査も積極的かつ頻繁に行うことで、プログラムが学生の期待を満たしているか、 そうでなければ、どのような分野で十分なトレーニングやプログラムが行われていないかということを明らかにしようとしました。 またピアベンチマーキングを行いました。 他大学の標準や基準をもとにすることです。 他大学ではキャリアサービスをどういった形で行っているか、 それを参考に我々のキャリアサービスを行っていくということを考えました。 実際に他の大学へ出向いて調査をしたり、全国的な組織も活用しました。 主要な研究大学が参加しているグラジュエイトキャリアコンソーシアムという非公式な団体があります。 ここを構成しているのは当初はいわゆるアイビーリーグと呼ばれる研究大学で東海岸にある大学でした。 コロンビアもその一つです。 今やこの団体は拡大し、全国の教育研究を行っている大学が含まれます。 グループとして年1回地域的な会議を開き、また全国大会も年1回開き、 その中でいわゆる優良事例、ベストプラクティスについての検討を行います。 現代GPのグッドプラクティスと同じく、我々もベストプラクティスと呼んでいますが、考えは同じです。 参加者は自分たちの考えるところのベストプラクティス、 過去におけるGPを振り返って情報交換を行い他の組織でもそれを使えるようにする。 この集まりは私の知る限り最良の情報源となっています。 また他大学の関係者で積極的な方、教授や事務職員など大学の運営に関わっている方々、さらに大学の信任委員なども含めて、 教育というよりもむしろ組織としての監督責任を持っているようなところにもキャリアサービスに参加してもらうようになりました。 つまりキャリアサービスを目に見える存在としたのです。 また雇用者や同窓生とも頻繁に検討会を行います。 そしてこれは1回きりといった継続的なプロセスではなくて、 少なくとも年1回、年2回できなくても最低年1回というような形で行っています。 コロンビアの卒業生を採用した経験がある企業だけではなく、まだコロンビアの学生を採用していないようなところ等も含めて、 言ってみれば採用市場・雇用市場に乗り出していったわけです。 ちょうど銀行が顧客を求めているのと同じような形でキャリアサービスの分野でも雇用主を求めてコロンビアの卒業生を雇いたいというようなところを開拓しようとしています。
 改定されたミッションステートメントですが、特に赤になっているところをご覧ください。 これが重要な変更です。 これを基本的なテーマといたしました。 これをもとに我々のプログラムを定義し構成しようとしました。 特に重要な能力・スキルを育てていく。 そして充分な情報をもとにキャリアについて決定を下せるようにする。 そのためにはもちろんまず対象について知らなければいけない。 そしてそれらの情報を提供しなければなりません。 どういうキャリアオプションがあるかの情報提供です。 これには学生や同窓生や雇用者、いろんな関連組織などの間で交流をはかっていくことが肝要です。 例えばインターンシップという形でのメンタリングを行う。 あるいは同窓生、雇用者、パネリストに来てもらい、いろんな仕事やキャリア関連のトピックについて学生を交えて話し合うことで、 円滑な交流を我々の手によって進めていくということです。 要は雇用機会の創出ということなのです。 情報をもとに決定ができるようにする、連携を確立して機会を生み出すこと、これらが我々のミッションステートメントに入りました。 かなり全般的な目的ですので、これをもっと具体的なものにしようとしました。
 もっと多くの雇用機会を創出するためには、まずその採用してくれる会社の基盤を増やしていかなければなりません。 つまりマーケティングが必要であるということです。 雇用者・会社の方にコロンビアに来てもらうということもいたしました。 重要な能力・スキルを育てるということに関しては、初期の段階から頻繁に学生と関わっていくことが必要だと思いました。 入学後すぐ、就職に向けてのいろいろなキャリア教育の重要性について話し合い、 そしてインターンシップの数を増やし、いろんなプログラムに参加できるようにしました。 学生が自分で探してくることもありますが、同時に我々のほうからもできることをすべて行ない、 インターンシップのプログラムを最大限提供できるようにしました。
 先程申し上げたコネクション、連携ということですが、 アカデミアで協力を得るためには我々の持っているリソースを活用することが有効です。 私の専門分野で言えばスタッフは2人ですから、全部で3人で7000人の学生に対応しています。 これはかなり大変な数字です。 そこでできるだけ我々の持っている他のリソースを活用することにしました。 つまり大学の周辺で我々を助けてくれるリソースはないか、 教授陣とか同窓生、さらには雇用者、我々を助けてくれる人たちを探しました。 そして、この組織としての優れた運営力を発揮するということを目標としました。 つまり、運営技術面でも最高水準のキャリア教育が求められているのです。 こういった意味では我々はまだ道半ばだと思っています。
 どういう組織になっているか私の部門を簡単にご紹介します。 学部生のキャリア開発とそれから大学、大学院におけるキャリア養成があります。 こういったところで初期の段階から重要な能力を育てていく、 こちらは実験的な教育、これはインターンシップを言い換えたものです。 こちらはインターンシップのプログラムを提供して学生が経験を積めるようにするものであり、 ここには雇用者と同窓生との関係を担当するディレクターがおります。 コロンビアの卒業生を採用したい雇用主を探してきたり、キャンパス内でリクルート活動に活用できるような場所を探したり、 同窓生との連携でキャリア育成のためのプログラムを作ったり。 企業が学生を採用する上で、これを補佐する様々な活動を行うのがプログラム担当のディレクターなのです。 また、計画、立案、事務、運営を担当するディレクターがおります。 優れた組織として、組織を高めていくうえでのかなめになっています。 学部の教授陣あるいは同窓生、雇用者あるいはその他の関係者との協力を推進していくということが重要です。 28〜29人ぐらいおりますが、大学の学部レベルおよび大学院、両方のキャリア教育を担当しています。 全体として1万5000人の学生がおりますが、他の組織と比べたら我々のセンターはスタッフの人数が多い方かと思います。 予算的には約200万ドルとなっています。 特に学部レベルおよび大学院のキャリア開発についてはもっと充実させ、担当者の数を増やしたいと思っています。
 実際の方法としては、まず能力の育成のために、早期からの関わりを強化します。 まず学生をできるだけ早期に学術志向とキャリア志向に分けます。 各教育課程ごとに、例えば博士課程であればその中を二つに分けます。 博士課程でも特に学術関係のキャリアをつんでいく人たち、それからそうでない人たちに分けるのです。 いろいろなプログラムを両者に対して提供しています。 大学その他の教育機関でのキャリアを求めている人たちと、教育機関外で職を求める学生両者に対し就職活動を支援するのです。 修士課程や学士課程に対してもワークショップのほかいろいろなプログラムを提供しています。 さらに特定のスキルを養成するワークショップもあります。 例えば面接、ネットワーキング、履歴書の作成と提出、あるいはカバーレターの作成、こういったところは基本的なスキルとなります。 さらに学生たちが自分たちのスキルをうまく雇用主に伝えることができるようにするワークショップもあります。 博士号自体は分かりやすいんですが、博士号がどういった形で外の世界で役に立てられるのか、 それを説明することは簡単ではありません。 そこでその分野での専門家を招いて、彼らの助けを得て、社会に対する説明のスキルを学びます。 例えば国際的なコンサルティング企業などでは、博士号を持っている学生を将来の社員としてかなり有望視しているところがあります。 そういった学生を特に採用したいと思っている人たちがいるのです。 それから金融業界も同様です。 例えば定量的なスキルを持っている人材、宇宙物理学や工学、コンピューターサイエンスや化学、生物学、数学、 あるいは金融の分野におけるリスク管理などにおいて博士号の学位を有する人材が求められています。 修士号でも同様です。 金融機関などでは、今やMBA以外でも修士号を持っている学生が求められています。 つまり1年の修士号の方が2年間のMBAよりもコスト的に安くすむ。 しかも具体的なスキルをちゃんと持っているということで注目されています。 そこでいわゆる商品化された、これは言い換えますと、標準化されたということですが、 スキルに関してのワークショップと専門スキルのワークショップを提供することで重要な能力を育成できるようにしています。 何といっても情報・知識がないとキャリアに関連した意思決定を下すことができません。 ですからいろんなプログラムを提供しているのです。 例えば、キャリアインシリーズと呼ばれる、同窓生がやってきて自分たちの仕事について説明してくれる機会があります。 この1年間に20回の説明会が開かれ、同窓生が在校生に対してIT、メディア、あるいは開発、 いろんな分野に関するキャリアについて語ってくれました。 資金調達、公務員の業務、政治や建築など、キャリアに関連するありとあらゆる分野の紹介がありました。
 キャリアフェアというのはアメリカでは大変人気が高いのです。 日本ではどうでしょうか。 これはとても効率的な形で、雇用主と学生のお見合いができるところです。 例えばキャンパス内においてもこういったキャリアフェアを行います。 先週の金曜日にも行われました。 このときはNPO関係、いわゆる慈善団体などの組織が集まりました。 秋には一般企業を対象としたキャリアフェアがあり、金融機関が随分参加しました。 他にもエンジニアを求めている企業向けのキャリアフェアもあります。 最近のエンジニア希望者向けのキャリアフェアには150〜160社が参加しました。 1日のイベントでしたが、学生の参加数は約2000人。 1回でこれほどの数の人たちが出会ったわけです。 時として地域の他の機関、すなわちコロンビア周辺の大学とも協力して、他大学の在校生もうちのフェアに参加します。 多くの企業に参加してもらいたいからです。 というのも企業の方はできるだけ多くの学生に会いたいと思っているからです。
 ネットワーキングのイベントというのはキャリアフェアよりもインフォーマルで、 学生がいろんな機会を通じて特定の分野の人たちに会えるようにするものです。 例えば今月末に予定されているのは、メディア関連のキャリアイベントです。 125人の同窓生が、すべてメディア関連の人たちですが、 やってきてこのネットワーキングイベントで学生たちと会うことになっています。 またサイトビジット、現地視察では、実際に各企業の本社に出向いて、実際の職場を視察します。 新聞社であったり、証券取引所やCNNなどの現場を視察できるようにします。 それから同窓生や業界のスピーカーを招待するのも学生に対する情報提供の一環であり、彼らはカウンセリングも行っています。
 インターンシップということに関しては先ほどすでに申し上げましたので、 詳しくは申し上げませんが、いろんなインターンシップをできるだけやろうとしています。 インターンシップには、CEOはコロンビアエクスピアリエンスオーバーシーズで海外での就業経験、 CAEとはコロンビアアーツエクスピアリエンスというイニシアチブがあります。 この2つのインターンシップのプログラムというのは、この1年半の間に立ちあがったものです。 CEOのプログラムですが、こちらはロンドンおよび香港を対象としました。 実際にこういった都心に出掛けて行って各都市にあるコロンビアクラブで同窓生と会いながら、 インターンシップを受け入れたいと考えている企業を探すのです。 資金面でのいろんな手配を行い、学生を募集し、約2か月から2か月半派遣します。 貴重な経験を積むことができます。 同窓生もまた貴重な経験を得ます。 香港でもロンドンでも大成功しました。 こういったプログラムを拡大したいと思っています。 一方、CAEの方ですが、 これはコロンビアにおいては卒業生の中で特にアート関連で活躍している人たちが多いということに注目しました。 またニューヨークを拠点にしている人たちが多い。 東京同様ニューヨークも芸術の都です。 そこでこの地の理を活用して、 特にコロンビアの学生の中でアート関連でインターンシップを積みたい人たちのプログラムを受け入れているところを探しました。 現在33件のインターンシッププログラムが動いております。 学生は週1回こういった人たちと仕事をする。 そして学期末においては、フォローアッププログラムでプログラムの成果を評価することになっています。
 雇用の機会を創出するということに関しては、 すでに詳しく申し上げましたが、企業向けのマーケティングの拡大を図っています。 そしてこういった分野に関して職員のトレーニングを充実させ、また技術面でのアップグレードも考えています。 OCR、これはオンキャンパスリクルーティングの略ですがキャンパスでのリクルート活動を行うもので、 これに関してはソフトウエアのプロバイダを変えました。 我々としてもかなり大きな取組みでした。 CRMはカスタマーリレーションシップマネージメントの略ですが、新しいソフトウェアパッケージを導入しました。 よりユーザーフレンドリーなものとなりました。 こういったプロセスを通じてプログラムの統一化をはかっています。
 最後に将来の方向ですが、これについてはぜひ皆さんのお考えも伺いたいと思いますが、 やはりもっと教育機関同士の国際的な協力が必要だと思います。 というのも今学生は世界に職場を求めています。 となりますと学生の就職先を考えるときにもうアメリカの国内にとどまることはできません。 雇用機会を求めて海外にも目を向けなければなりません。 また外部のリソースをもっと活用しなければなりません。 また技術の活用考えています。 直接雇用という事が企業において行われています。 つまりキャリアサービスを通じないで直接学生に接触するということで、その方がコストも安くてすむからです。 そういった面でも技術の活用が重要となります。 また同窓生・同窓会との連携ですが、これは皆さんが良くご存知であることと思います。 最後にパーソナルカウンセリングですが、そのモデルをまとめていきたいと思っています。 例えば、1人のカウンセラーが1対1という形で学生に対応するモデルが果たして有効なのか。 将来的にはそうではないと思われます。 というのもカウンセラーの数に対して学生の需要が多すぎるからです。 もっと効率的な形で学生とのコミュニケーションを考えていかなれければいけないと考えています。 私からは以上です。 どうもご静聴ありがとうございました。」 ( スライド資料
 
(拍手)
 
山﨑
「カーツ先生、どうもありがとうございました。 時間的にちょっと厳しいので、ご質問があれば1つだけお受けします。 どうぞ。 日本語で結構です。」


「私は平成8年から13年まで一橋大学で学生の就職指導をしてきたもので、今でもNPOで大学の学生の就職指導をしています。 アメリカの大学の優秀な学生は大企業に勤めないで、むしろベンチャー志向だという話を聞いたことがあります。 ご存じのように日本は生涯雇用として従来は長期の雇用を前提としておりましたが、 4,5年前には、生涯を通じて1つの企業というような志向ではなくて、 会社に入ってもいずれは変わるということを前提に就職する学生の姿が多くなりました。 ところが2〜3年前からですね、急にまたそれが変わってきて、ほとんどの学生が有名大企業志向に戻り、 できれば一生勤めたいというのが最近の日本の学生のあり方なんです。 それで私が確認したいのは、私どもが聞いておりますアメリカの優秀な学生はベンチャー志向だと、 いわゆる独立志向だということである意味で非常にあるべき姿だと思っているんですけども、 どうも先ほどのお話を伺っていると、どうもあんまりそういう気がしませんので、実態を伺いたい。 それからもう1つですけども、最後に新しいカウンセリングモデル、一対多のモデルが必要となると話しておられましたが、 私自身の経験だとカウンセリングこそ大事じゃないかと、人の悩みを解決するには、ルートが簡単にはかれないのが人の悩みだろうと。 そうするとやはり最終的に1対1のカウンセリングでないと解決できないというのが私の見解なんです。 その辺もちょっと伺いたいのでよろしくお願いいたします。」

カーツ
「まず最初に最も優秀な学生たちはどこに行ってるかということですが、確たる資料はありませんが、 優秀な学生が優良企業に行く場合もあれば、起業ベンチャーを始める場合もあります。 ニューヨーク市ですと金融サービスが非常に人気を呼んでおります。 かなりお金儲けができるという期待が学生たちの間にあるからです。 しかしもし財務のキャリアを求めている人がゴールドマンサックスから仕事の話があった場合は、 小さな起業家ベンチャーを興すのと同じくらい真剣に考えるはずです。 ベンチャーに行く人たちもいれば、ゆったりした環境の中で仕事をしたいと思う人、 あるいは階層的ではない、よりフラットな組織で働くことを求めている人たちもいれば、 大金を稼ぐことができる可能性のあるところを求める人もいます。 しかしニューヨーク市ということもあり大手企業の本社が集中しているわけですから、 学生の多くが大手企業での仕事を探すという傾向が見られるようです。 半分半分に分かれていると思います。 はっきりとどちらかにバイアスがかかっているということはないと思います。 それからカウンセリングモデルについてですが、100%私も同感です。 1対1のカウンセリングが最も良いと思います。 ただ難しいのは、スタッフが3人、そして7000人の学生がいるということで、1対1のカウンセリングを1人1人やるのが難しいのです。 そのため我々はワークショップを通じてカウンセリング関連の助言をするようにしております。 またインターネットで情報リソースを活用して学生たちに提供しております。 あるいは講演者を呼んで、キャンパスで講演していただいております。 昨年の秋、ボストンを本拠とする大きなコンサルタント会社のシニアパートナーがスピーカーとしてやってきたのですが、 博士号の取得者はどうやってスキルを磨くことによりアカデミア以外の仕事を獲得することができるのかとか、 自身をどう向上させることによって効果的に職を求めることができるかというような強烈なプレゼンテーションをしてくれました。 説得力がありました。200人以上の学生たちが参加し1対1のカウンセリングよりもはるかに効果的だったと思います。 じゃあカウンセリングというのは生き残るかというと、必ず生き残ると思いますけれども、 そのあり方にはいろいろな修正が可能であると考えます。」

山﨑
「時間もありませんので、また後半のパネルディスカッションの場でも質問の機会を設けたいと思います。 カーツ先生、どうもありがとうございました。」
 
(拍手)
 
※ ○○表記は音声認識不明箇所です。

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資料

  1. 講演資料 「米国におけるキャリア教育の動向」

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